あれは忘れもしない、シンカリオン初期。
黒を基調とした不気味な姿と悪趣味(?)な笑い声で、全国のチビっ子たちを恐怖のどん底へとつき落とした敵エージェントの一人、セイリュウ。

しかし!
ハヤト達の仲間となった今ではすっかりその牙も抜け、正月には一緒にソバすするカワイイ男の子に大変身。

彼に一体何があったのか?
どうやって仲間になったのか知りたいけど、DVD全部観るヒマ(とお金)がない!
という方のために、今日はそのセイリュウが仲間になったいきさつをまとめてみました。
「これぞシンカリオン」と言える屈指の名ストーリーをご覧下さい!
キトラルザスはケーキで釣れる?セイリュウが仲間になるまでの一部始終をまとめました!
1.出会い
シンカリオン「E5x500こだま」との死闘の末に敗れ、ヒトの進化をもっと知りたいと感じ始めたセイリュウ。

「ヒトに興味があるなら、ヒトの姿になって接触すればいいじゃない…?」
セイリュウの話を聞いたスザクはそう言うと、彼を人間の容姿に変えてあげるのでした。
ヒトとなって上野動物園に姿を現したセイリュウ。
そこへアズサが迷子の外国人と勘違いして声を掛けてきます。

セイリュウが「新幹線が見たい」と言うと、アズサは一人の男の子を引き合わせました。
その男の子に上野駅ホームで新幹線を見せてもらい、「好き」という言葉を知ったセイリュウ。
後に彼が「速杉ハヤト」であることを知り、衝撃を受けます。
2.憎悪
そんな折、ヒトとの対話の道を進めようとしていたゲンブがハヤトによって倒され石化してしまうという事件が発生。
これがソウギョクの策略だとも知らず、セイリュウはハヤトに憎しみを抱き始めてしまいます。
ある日、鉄道博物館駅のホームでハヤトを待っていたセイリュウはハヤトに問います。
「ゲンブを殺したのか?」

不本意であるが故に返事に苦しみ、黙ってうなずくしかないハヤト。
それを見たセイリュウは彼が敵であることを改めて確信し、ゲンブの仇を撃つためブラックシンカリオンでの出撃を決意するのでした。
3.氷解
セイリュウの相手は、ハヤトとリュウジがクロス合体したシンカリオン「E5xドクターイエロー」。
最強の相手を前にセイリュウは激しい戦いを繰り広げます。

この戦いの中でハヤトから
「セイリュウの好きなものは何?それがわかれば僕たちは戦わずに済むかもしれない…」
と説得され動揺するセイリュウ。
目の前にある自分の「好き」なもの…
シンカリオン「E5xドクターイエロー」を羨望の眼差しで見つめます。
しかし…目の前にいるのはゲンブの仇!
セイリュウは首を振って葛藤し、苦しみます。

「俺は…どうしたらいい!? 教えてくれ、ビャッコ、ゲンブーッ!」
涙ながらにセイリュウが出した答えはヘルグランクロス。シンカギアのレバーを最大まで引き上げます。
これに対しハヤトも仕方なくウルトラグランクロスで対抗。
壮絶な打ち合いの結果、敗北を喫したのはセイリュウでした…。
戦闘後の夕暮れ。
戦いに敗れたセイリュウにハヤトが近づきゲンブの件について説明をしようとします。
しかしセイリュウはそれを遮り、
「本当の事はわからないが、あの時…ゲンブと同じ事を感じた自分を信じたい」

「俺も、シンカリオンが好きだ…」
と言い残してその場を去るのでした。
3.決別
地底のキトラルザス本部では、敗北したセイリュウの処遇で大盛り上がり。
その様子を伝えに来たスザクに対し、セイリュウはもう地底には戻らないことを告げます。

セイリュウに何かしらの変化が起きている事を感じたスザクは引き留めることをせず、「寂しくなるわね…」と言い残すだけでした。
行き場所を失ったセイリュウ。
偶然にも再び上野駅構内でアズサに声を掛けられます。
ゲンブがヒトと楽しく過ごしていた事をアズサから聞いて驚くセイリュウ、その会話の中でゲンブも食べたという「ケーキ」に興味を示します。
しかしその時、黒い貨物列車が出現。
敵は新たに地底から来た強敵「クレアツルス」でした。
ハヤト達の苦戦を感じたセイリュウに、アズサは助けてあげてほしいと懇願します。

まだキトラルザスを完全に裏切ったわけではないセイリュウは戸惑いますが、
「お願い、ケーキあげるから!」
の声に負けて出撃を決心。
セイリュウの助けにより、ハヤト達はクレアツルスの撃退に成功するのでした。
その夜、超進化研究所の忘年会にてアズサから約束のケーキを貰うセイリュウ。

「俺はケーキと言うものを食べに来ただけだ… 他のヤツラにはバラすなよ」
と強がりながら初めて食べたその味に驚き、アズサに少しだけ心を開くのでした。
4.クリスマス
世間はクリスマスムード一色。
すっかりケーキにハマったセイリュウ、クリスマスケーキのポスターに興味津々なところをまたしてもアズサに見つかります。

迷子になっているだろうとセイリュウを気にかけるアズサに、セイリュウは大きなお世話だと言って立ち去ろうとしますが…。
「ねえ、ケーキ食べに行かない?」
「…!」

またしてもセイリュウはケーキの誘惑に勝てませんでした。
「いいか…オレが今日ここにいることは内緒だぞ」
そう言って真剣な眼差しでケーキを見つめ、口に運んだセイリュウは…

「! これがヒトの進化の到達点か!」
と言い放ち、夢中でかきこみ始めるのでした。
上野の街を歩く二人が目にするのはヒトやモノすべてが赤と緑で彩られたクリスマスカラー。
クリスマスを知らないと言うセイリュウにアズサは何かを思いつき、彼を連れて大宮行きの新幹線に乗り込みます。
5.素直
アズサの策はセイリュウをバレないように変装させ、超進化研究所のクリスマスパーティ準備に参加させてあげようというものでした。

ハヤト達はアズサが連れてきた「留学生のジョージ」を快く受け入れ、パーティー準備を始めます。
作業が一段落し、絵の具で汚れたエプロンを洗って屋上で乾かしていたアズサとセイリュウ。
アズサが先に部屋へ戻ると、その入れ違いにスザクが現れます。

スザクは「処罰はないから地底に戻れ」というソウギョクからの言葉を伝えますが、セイリュウにはどうしたら良いかわかりません。
さらにスザクは続けます。
「シンカリオン、好きなんだもんね? 私はアンタがどうしようと興味ないわよ、ゲンブ達と違ってアンタを可愛がってたわけじゃないし。…でも、今みたいに素直なアンタはちょっと可愛く思えるけどね」
セイリュウはうつむいたままでした。
その夜、トラメが襲来しハヤト達と戦いますが、狙いは明らかにセイリュウ。
誘いに乗った形で参戦し撃退するセイリュウですが、これでキトラルザスへの反逆が確定となってしまいます。
戦闘後、研究所に戻ったハヤト達。
彼らは留学生の正体がセイリュウであることを最初から知っていた様子で、
「俺たちが知らないフリをしていれば、パーティ当日も来てくれるよね?」
と考えていた事を明らかにします。
それに対し、アズサは困惑と苦笑い。
「どうだろうねぇ… あの子、ホント素直じゃないからなぁ…」

6.選択
クリスマスイブの日、再び上野駅でセイリュウを見つけたアズサ。
今日はハヤトを連れ、シンカリオン好き同士なんだから仲良くしてほしいとお願いをします。

「俺はお前たちと慣れ合うつもりは…」
と拒否するセイリュウですが、ハヤトが差し出したお土産のケーキを断る事は出来ませんでした。
一方、超進化研究所はフタバの婚約者、ヤクモが現れて大混乱。
ネオンが光る街中でヤクモにプロポーズされたフタバでしたが、返事をせずに彼と別れます。
駅でセイリュウ達と遭遇したフタバは自分の迷いをそれとなく3人にこぼしました。
「新しい暮らしを選ぶって素敵なことだけど… それまでいた世界とはお別れ、ってことなんだね…」

フタバの言葉を聞いて考え込むセイリュウ。
その後、駅でハヤトから一枚のカードを手渡されてその場は解散となりました。
7.決意
クリスマス当日。
セイリュウはブラックシンカリオンに乗ってトラメを誘い出します。
お互いに決着をつけようと戦いを始めますが、本気を出したトラメの強さは凄まじく、次第にセイリュウは劣勢へ。

トラメに捕まったセイリュウは万事休す…。
そこにトラメの口から衝撃の真実が伝えられます。
「スザクもゲンブと同じ目に遭うだろう、ゲンブはソウギョクに石化されたようなものだ!」
「…なんだと!?」
激高するセイリュウですが、トラメの圧倒的な力の前に状況を覆せません。
そしてトラメがトドメの一撃を繰り出そうとした、その時…
「やめろー!」
突然ハヤトが飛び込み、セイリュウは窮地を脱します。
「なぜ来た!?これは自分の戦いだ!」
吠えるセイリュウ。ハヤトは
「違う! これは仲間が戦っている戦いだ… だから俺は仲間を助ける!」
と言い、アキタ達も続きました。

仲間という言葉に吹っ切れたセイリュウ。
「俺は超える… 俺達とヒトの垣根を!」
そして、再びトラメに向かって剣を振るいます。
「新しい道を選ぶという事は、それまでいた世界とは別れるってことだ。その覚悟はできた!」
セイリュウはハヤトと協力して2つのグランクロスを放ち、ついにトラメの撃破に成功するのでした。
8.仲間
その夜、超進化研究所のクリスマスパーティがスタート。
ヤクモのプロポーズを正式に断ってきたフタバが現れて一堂は盛り上がりますが、そこで再び部屋のドアが開きます。
そこには…

「招待状…もらったんだ。入っていいか」
ヒトの世界へ行くことを決めたセイリュウ。
そこにはしっかりと「ケーキ」のお誘いがありました…。

9.おわりに
いかがでしたか?
アキタの母モミジの思い出のケーキをゲンブ、セイリュウとつなぎ、クリスマスで完結させる見事な展開でしたね!
そして悪役トラメ、お節介好きのアズサ、プロポーズされたフタバのセリフ…。
それぞれの役者がしっかりと噛み合い、素晴らしいストーリーに仕上がったと思います!
44話~50話まで7話に渡ったこのセイリュウエピソード、きっとシンカリオン名場面の一つに数えられることでしょう。
シンカリオン、まこと良いものですね…
お読み頂きありがとうございました!
